【柔術みちしるべ ~後逆首〆捕のこと2~】

【後逆首〆捕のこと2】

*注 掲載写真の型や形には行き届かいないところがあり、正伝の技とは異なる点も多々ありますので見本となるものではありません。
 また師伝によって技の形・解釈にも差異があり、あくまでも文武塾式のものであることとご理解ください。
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 再掲写真3~6について。前回までで、八光にひらいた手をひょいっと中心前まで寄せてきくるところまで終わりました。いよいよ雅勲の技に入ります。

 雅勲については八光流柔術のなかでも代表的で根幹的な術理の内容なので、詳しいことを勝手に述べてその仕組みを公開することはご法度であります。
 ですので、今回は雅勲の仕組みそのものではなく、なぜ後逆首〆捕で雅勲の練習をするのが大切なのか?ということを考察したいと思います。

 まず八光流柔術のカリキュラムを振り返ってみますが、後逆首〆捕より前に雅勲という技を練習するのは『三段坐技 打込捕』が初出であり、つぎに『三段坐技 綾捕』があってそして後逆首〆捕が三つ目にきます。

 前出の二つの型による雅勲は上から手首の大腸経に働きかける技ですが、後逆首〆捕は下から小腸経(相手の手首の太さとの兼ね合いで三焦経になる場合もあり)に働きかける技です。

 大腸経と小腸経という差異より、上からか下からか?という違いの方が大きいと思われます。

 私自身が三段位だったころ、打込捕や綾捕の雅勲は得意だと思い込んでいて稽古でも打率七割ぐらいのつもりでいました。しかし、後逆首〆捕での雅勲がどうにもサッパリ効いてくれない。
 前回までに触れた首締めに対応した気道確保の形のために力が抜けていなかったということも一因ではありましたが、本当の原因はそこではなかったのです。

 いまになってわかるのは、当時は上からの雅勲ができていたといっても、それは「のしかかり」であり、多少上達していて「重みの集中・収束」だったかもしれませんが所詮は本当の雅勲の効く仕組みとは程遠いものでした。

 雅勲の効く仕組みとはどういったものか?それは実地教伝の場でしかお伝えすることはできません。
 ただ言えることは、「のしかかる」でもないし、いわゆる「脈を締める」でもないということです。
 私の場合は他流での経験により重みの集中・収束ということができていたために、誤魔化しが効いてしまっていたのです。

 雅勲の効く仕組みを学び頭で理解するだけなら三段坐技の打込捕だけでも十分ですが、その仕掛け・セッティングを実際に迷いなくできるようになるには、後逆首〆捕の雅勲のように下から効かせる練習も必須になります。
 私は便宜的に下からかける雅勲を『突きあげ雅勲』と呼称していますが、上からの雅勲も突きあげ雅勲も掛の身体が『ある状態』になるように誘導する必要があって、それを構造的に見える形にして練習しているのがしっかり攻め掛かってくるのを捌くという形態の基本技型であり、その構造と仕組みを武術的に相手からさとられないようにかつ傍から見ていても盗まれないように見えなくしたものが奥伝の内容なのです。

 また、上からの雅勲では特に相手に痛い思いをさせずとも崩したり投げたりという応用にも発展するのですが、ただ崩したり投げるという結果に偏重してしまうと本来の「刃を起てる」とか「エッジを効かせる」ともいわている手之内を活かす初代宗家が提唱していた『峻烈に効かせる雅勲』とは似て非なるものになってしまう恐れもあります。ですが後逆首〆捕の雅勲は痛い痛くないは別問題として、しっかり刃を起てていないと再掲写真3~6の行程がまったく成立してくれないので、刃を起てる手之内の確認・検証・熟練のためにとても役に立つのです。

 三段立技には瞬間的な活用なのでわかりにくいかもしれませんが、この突きあげ雅勲が組み込まれているものが多く、それらの技型でどうもスムーズにいかないと感じるときはこの突きあげ雅勲への注意がすっぽり抜け落ちてしまっている場合が多いものです。

 突きあげ雅勲が熟練すると、再掲写真3~6における右腕の振りと上体の傾斜はより小さくてすむようになります。というわけでこの写真の技前はあまり上手いとはいえず見本とはならないのですが、逆に構造としては見えやすいともいえます。

 前々回に後逆首〆捕で苦労したことは他の技型の向上に活きると述べましたが、この突きあげ雅勲などもその代表的な術理です。ただし突きあげといっても手の位置を上にあげるわけではありませんのでご注意のこと。見てのとおり私もまだまだ未熟なので、心して稽古に励みたいと思います。

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