当身のこと 目潰し編2

 八光流の『護身十八ヶ条』には、第十七ヶ条と第十八ヶ条にて、目潰しの当身が紹介されています。
 遠い間合い、近い間合い関係なく目潰しを単体で活用できる基礎的要訣が述べられていますので、興味のある方は一度護身十八ヶ条が掲載されている本部発行の『八光流雅懐編』を参照してみていただきたいと思います。

 今回考えてみるのは型稽古における目潰しの当身のこと。とくに初段坐技の腕押捕・胸押捕の目潰しを題材にしてみます。

 まず目潰しそのものについて述べる前に、型稽古においては取(技を稽古する側)と掛(攻める側)の役割をしっかりと理解して施行することが大前提だということを念頭に置いていただきたいと思います。

 たとえば腕押捕で掛が取の腕を掴んでから、なにもせずに取のアクションをぼけ~と待ってしまったり、技に耐えて封じてやろうと守りにはいって待ち受けるひとがまれにいますが、それは型稽古の目的をはき違えた行為ですので注意が必要です。
 (技を封じる・潰すという意図の相手に技をかける稽古にも意味があり、大事なことですが文武塾ではそのような稽古は相当に型の形が身についてから取り組んでいただくことにしています。そうしていることに意味も目的もありますが、今回は割愛し機会があればいつか述べたいと思います)

 取の熟練度によって攻めの圧力・プレッシャーをさぐり加減する必要はありますが、掛は「暴力をふるう役」をしっかりと務めていただきたいです。

 掛が「腕あるいは胸を掴み押さえつけて自由を封じ、空いた手で殴打せんと拳を振りかぶる」ことをしっかりと果たそうとしてくれれば、取は目潰しの当身の効能をきっちりと学ぶことができるようになります。

 掛が取の腕・胸を掴み押えつけんとした刹那あるいは空いた手で殴打せんと拳を振りかぶる刹那、取は姿勢を正したまま力を棄てた腕で革鞭のようにしならせて目潰しを放ちます。
 無理に威力を得ようとして身体を前傾させて突っ込んだり肩を入れて半身がちになったりもしません。体幹自体は八光捕と同じような状態であるとイメージしてください。

 目潰しで放つ手先だけでなく、掴まれた部位でもすべきことがあります。私は「目潰しの手、掴まれた部位、丹田の三点を一緒に放つ」という口伝をいただいたことがあり、それを目指していますが文章では表現が難しいので、その感覚については実地教伝の機会に譲ります。
 私の技量ではまだ稀なケースですが、この三点放ちと掛の押さえつけつつ殴打せんと拳を振りかぶるタイミングがばっちりとマッチすると、それだけで掛の肩や首にトンッ!と技が効いて掛が弾かれて崩れてしまうことすらあります。

 このことからわかるのは型における目潰しの行程は単純に目潰しでやっつけたり、あるいは牽制や押し切られないための足止めの意味合いだけでなく、腕押え・胸押えの本編の行程をよりスムーズに行えるようにする準備姿勢のセッティングの学びになりうるということです。

 掛のアクションに合わせて目潰しを放つには、まず掛をしっかりと見ている必要があります。気負って凝視するのではなく受け入れて観察できる目付の学びになります。

 自分より掛の腕のリーチが長いと目潰しを当てねばと突っ込みがちですが、無理に当てようとしなくてけっこうです。
 しっかりと気持ちが入った当身を放てるようにする(気当て・遠当ての理)ことが大事で、それができれば掴まれた腕や胸を押さえられ押し切られることを防ぐ間合いの学びになります。

 私自身、教伝中腕押え・胸押えの本編の崩しの解説に気を取られると、ついつい目潰しの当てに気が乗らなかったり、おろそかにしてしまうこともまだまだありますので大いに反省中です。
 毎回きっちりと行うように意識した方が、タイミング・呼吸の学びになるのでしっかりと取り組みたいと思います。

 目潰しに放った手をさっと引き戻し、腕や胸を押さえている掛の手に上からそっと柔らかく添えるのはなかなか難しく、永い期間苦労するかもしれません。しかしこれは自分の目で見ても確認し注意できることですので、初めは面倒でも繰り返し稽古すれば時間はかかっても誰でも確実に改善できることです。
 目潰しの後はゆっくり丁寧な稽古を心がけましょう。間違ったり失敗したらその度確認して反省し、次に活かせばよいことです。
 そのための約束事たる型稽古です。
 初め苦労してまごついてイライラしたり落ち込んだりしたとしても、早いうちに目潰しの習慣を身につけてしまった方が、姿勢・目付・間合い・タイミングの基礎的な学びが得られるので、護身術として頼りになるだけでなく武道として学びを深めていきたいと望むひとにとっても後々活きてくることと思います。

スポンサーサイト

テーマ:武道・武術 - ジャンル:スポーツ

| 柔術みちしるべ

«  | ホーム |  »