続・八光捕のこと2

 前回、八光捕の第一歩はとにもかくにも手指をぱっとひらく(八光にひらく)ことだと述べました。

 私自身そうだったのですが、手指をひらくと自然と手や腕が緊張してしまって力が抜けず、八光流柔術でもっとも大事なリラックスができない人も少なくありません。そのような方には遠回りのように思えるかもしれませんが、それでもまず手指をぱっとひらくことが先決です。

 ただフニャフニャに力を抜いただけの腕と手では、極端な例えですが釣り糸に釣り針がついていないようなもので釣りの役には立たないように、このような状態は『ふぬけ』になっていると言われ注意されます。

・しなやかで強靭な体幹=釣り竿
・リラックスした肩~腕=釣り糸
・八光にひらいた手=釣り針

 このどれもが欠かすことはできません。

 竿と糸と針の三つがそろっていて、相手が「この野郎!」と喰らいついてきた『ヒット』のとき技は発動します。その状態を模擬的に作り上げて練習しているのが型稽古だと言えます。

 この『ヒット』の状態のことを、私は先輩師範から「『当たり』を捉える」という表現で学びました。

 武術的には、針であることを獲物にばれないようにすることがキモですから、餌で針を巧妙に隠したり、本物と見間違うほどの疑似餌をもちいたりするのと同じで、熟練者や名人になると初心者ほどあからさまに手指をぱっとひらかなくなることも少なくありません。

 そこで私たち道半ばの学習者は、熟練者や名人の技を見取稽古するときには手をぱっとひらかない様子を見ても「手をひらかなくてよい」と早合点しないように注意をしなければなりません。

 手指をひらかなくても、ひらいた時と同じように当たりを捉えられるようになるには、まず手指をひらいて『ヒット』した状態をたくさん経験して習慣化することがもっとも無難で確実なプロセスになるからです。

 入門当初から「八光捕の極意とはなんぞや?」などと難しくこねくりまわす必要はありません。

 近頃、だれでも180度の開脚ができるようになるというストレッチメソッドが注目されているそうですが、「手指をぱっとひらきつつ肩~腕はリラックスする」のはあの180度開脚ストレッチよりも断然簡単です。

 ぱっとひらいてリラックスできないのも、しばらく継続していけば必ず自然とできるようになります。

自分自身で「難しい、難しい……」と言い聞かせて小難しいことにしてしまわないで、「180度開脚より簡単!断然ラク!」と言い聞かせてしまうのもありだと思います。

 どれだけリラックスできて身体がゆるんだとしても、それだけでは護身の技には直結しませんので、技に不可欠の形(針)も力を棄てることと同時進行で練習しましょう。

 それを効率よく助けてくれるのが型稽古です。

 そこで次回は、八光捕と他の型の関係について考えを述べてみたいと思います。

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テーマ:武道・武術 - ジャンル:スポーツ

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