【柔術みちしるべ ~滑稽な型?~】

【滑稽な型?】

*注 掲載写真の型や形には行き届かないところがあり、正伝の技とは異なる点も多々ありますので見本となるものではありません。
 また師伝によって技の形・解釈にも差異があり、あくまでも文武塾式のものであることとご理解ください。


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 以前【姿勢と技3】の回で、
「型では取は手首を掴まれるなり身体のどこかを押さえつけられるなり、掛が実となって準備万全に攻めてきた取にとって絶対的に不利な状況がスタートという想定がとても多い。
 力ではもうどうしようもないまで追い込まれたところをから始まるがために、力を棄てることの必要性に直面するということが、直接的に肚の養成につながっています」
と述べました。
 今回題材としてご紹介する『三段半立技 後逆首〆捕』は、そういった不利な状況から始まる代表的な型といえます。

 私が師匠から初めて後逆首〆捕を習ったときは、もちろん深いところまで考えは及びませんでしたし他流を数年かけて稽古継続してきた後だったので、ずいぶん滑稽な型だなぁ……という感想をもってしまいました。

 掲載写真の1ではまだ掛の攻めは甘くて、本気で攻めるならもっと左手を奥襟にいれて左腕による首締めをねらいます。そうなれば取は初段立技の首〆捕と同様に顎を引き肩をすぼめつつ口角を笑う形にして気道の確保をしてのスタートとなります。

 初めて学んだ時はがっつりの首締めでのスタートでしたので首締めを防ぎながら、

「(こんなになるまで、どんだけ油断してたって言うんスかっ!?)」

 と内心でつっこんでしまいました。武術的な発想だと、まずここまで相手に万全に組ませないことを優先するので、悠長に首を締めさせてなおかつ腕のへし折りまでセッティングして始まって、さらに手間もかかるこの型に「実戦で使えない技だ」という先入観をもってしまったのです。

 首締めに対応した気道確保の形は、形だけ真似すると胸郭から上は吊りあがり、リラックスして肩が落ちているのとは真逆の状態です。その状態からリラックスする・力を棄てた一連の動きを要求されるので非常に難しく感じますし、実際めったに上手くいきませんでした。

 師匠との稽古ではひとつの技でつまずくと、できるまでその技にかかりっきりになったので、ひどいときは一回の稽古丸ごと後逆首〆捕で潰れてしまったこともあります。
 そしてできたとしても、なぜできたのか自分で理解できてないのでモヤッとしたまま終わって、次の機会にまたおなじことをくりかえす有様でした。

 勝手に「使えない技」と思い込んでもいましたので、できるようになりたいという意欲も湧かず、後逆首〆捕の稽古になるとモチベーションもだだ下がりで無駄な時間にしてしまい、とてももったいないことをしていたと思います。

 しかし自分自身で師範教伝から皆傳・三大基柱そして皇法指圧と学んで、八光流柔術の術理の全体像をなんとか頭だけでは把握できてきて、一般技基本型を洗い直して再履修をする過程で後逆首〆捕に対する印象はまったく変わりました。

 いまでは後逆首〆捕はとても多くの術理の基礎を練習し訓練できる要素のつまった、八光流学習者にとっては宝石箱みたいな型だと思います。

 いまだに後逆首〆捕は難しく感じますし上手にできないのも相変わらずですが、再履修で後逆首〆捕上達のために悩み苦労したことは他の技型の向上に確実に活きている実感があります。

 なぜ最初に不遜な考えをもってしまい、素直に学んでこなかったのかという反省と後悔に自分がさいなまれたこともあり、文武塾では三段技の初学者にはできるだけ後逆首〆捕のその意味とねらいをできるだけていねいに紹介し、お伝えするよう心がけているつもりです。

 次回以降、その一部をご紹介する予定です。後逆首〆捕という一見滑稽な型を題材に、型を軽視し省略して稽古しないのは非常にもったいないということと、型を読み解きながらの稽古がいかに面白くやりがいがあるのかということが認知されていけば幸いのことと思います。

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テーマ:武道・武術 - ジャンル:スポーツ

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